第1回目は、日本の紅茶文化を繋いできた三井農林を支える専属ティーテイスターとして、香味豊かな中国茶・台湾茶を日々鑑定し、現地で学んだ経験から「#3(スクエアスリー)」を生み出した秋林健一。茶葉鑑定の仕事や、「#3」と名付けたお茶にかける思いを、計3回に渡ってお話しいただいた。
すべてのはじまり
秋林:2005年に三井農林株式会社に入社し、その年の11月まで宮原工場(現藤枝工場)品質管理課に配属。その後広島工場(当時)品質管理課へ異動になり、主にティーバッグ製造やインスタントティーの品質管理に携わったのちに、2012年に鑑定部門へ移動し、現在に至ります。
就職前はお茶に興味があった訳ではなく、特に意識して飲んだことはありませんでした。どちらかというと食品全般に興味があり、「食」で感動を与えたい、そんな漠然とした思いを持っていました。
秋林:鑑定部門で中国茶を担当することになりましたが、それまで中国茶を飲んだ経験に乏しく、当時はペットボトルの烏龍茶くらいしか知らなかったため、特にいい印象はありませんでした。ただ、茶葉の品質を評価して購入を決定する買い付け業務については、これまで品質管理で培ってきたスキルを活かせる、おもしろそうな仕事だなと感じていました。
当時、購買業務の一環で中国の茶園や茶工場に赴くようになると、もう毎回が発見の連続で!お茶のおいしさを熱心に追及する彼らの姿は、僕の中国茶のイメージを一新してくれました。
製法などにより細かく茶の種類が分かれていて、それぞれ味も見た目も全く違う。こんなに繊細なものだったなんて、純粋にすごい、と。そして、どうやってつくるのだろう、と考えてワクワクしました。
秋林:一番感動したのは、「武夷岩茶(ぶいがんちゃ)」というお茶です。渋みが効いている焙煎香が強いものと思って飲んだら、香料を入れているんじゃないかと疑うくらい香り高く、ライチやマンゴーなどの南国のフルーツのような香りがしました。
この頃感じた「中国茶すごい!」という高揚感。この自分が受けた感銘を、日本にも伝えたい。
それが、すべてのはじまりでした。