和紅茶について
和紅茶とは、日本の気候風土に育まれた茶樹から摘み取った茶葉を使い、日本で紅茶に加工したお茶のことです。2023年11月時点で、47都道府県の1,002カ所（注1）で和紅茶がつくられていて、茶農家がそれぞれに工夫を重ね、個性的な香りを生み出しています。
国内での茶葉の生産時期は、一番茶が4月末〜5月中旬、二番茶が6月中旬〜7月、三番茶が8月と、緑茶とほぼ同時期になります。和紅茶が多くつくられているのは主に二番茶です。二番茶の時期は気温が高く、紅茶の発酵もしっかりと進むため、紅茶の味・香り・水色の３拍子がそろったフルボディの紅茶が出来やすくなるからです。
国産で有名な品種の筆頭に挙げられる「やぶきた」は緑茶向きの品種ですが、日本ではこのやぶきた種から多くの和紅茶がつくられています。一方で、紅茶向けに開発された品種が、ボディ感のある紅茶をつくることができる「べにふうき」。国内ではこのほかにも、「べにひかり」、「藤かおり」、「さやまかおり」、「べにほまれ」などの品種も生産されています。
吉田茶園について
吉田茶園は茨城県西部、かつての下総国猿島（さしま／現在の古河市、坂東市、常総市、八千代町、境町）にあります。この中で最も西に位置する古河市のJR古河駅から、東北本線沿いに車で東京方面へ10分ほど走った先にあり、JRの車窓からも茶園を見ることができます。
「さしま茶」は江戸時代の初めに茶樹の栽培が始まり、江戸末期には宇治から製茶法を導入して、1859年には日本で初めて茶を米国に輸出した歴史ある茶産地です。吉田茶園も創業は1839年と古く、茶の栽培から製造、小売りまで行う老舗のお茶屋として知られています。現在2.3haの茶園を管理、その内0.5haを紅茶用に栽培しており年間約2,000�圓領价磴�500�圓旅斑磴鮴源困靴討い泙后Ｃ禀兵錣蓮屬笋屬�た」「ほくめい」「おくみどり」「はるみどり」「ふくみどり」のほか「やぶきた実生」、在来種、「いずみ」等多くの品種を栽培しています。吉田茶園といえば「いずみ」の紅茶が有名で、紅茶好きの間では非常に人気がありますが、成園は2反（991.74�屐砲箸泙世泙西�ないです。現在3反の土地に幼木を育てており、2024年から少量であるが幼木からの収穫が始まりました。今後はもう少し多く市場に出回る予定とのことで楽しみです。また、1日の生産量は現在20kgと限られています。これは摘採・萎凋・揉捻・乾燥まで品質重視で丁寧に製造しており、設備も大きくはないからですが、幼木が育ち十分な生葉が確保できる2025年から生産設備を増やす予定であるとのことです。
現在6代目の吉田正浩氏は東京農業大学を卒業後、静岡県金谷にある旧国立茶業試験場に1年間研究生として在籍し、1992年から家業を継いでいます。研究生の時、香りに特徴のある品種はないか探していたところ、試験場の先生から「いずみ」を紹介され栽培を始めたといいます。「いずみ」は茶農林1号、多田系インド雑種の実生から選抜された優良紅茶品種「べにほまれ」を母親に持ち、釜炒り茶、紅茶、半醗酵茶に適した品種です。吉田氏は当初香り煎茶等を作っていましたが、全国的な国産紅茶ブームに乗り、2012年から紅茶製造を始めたところ手応えを感じました。冬は-10℃、降雪もある厳しい環境の中、栽培から製造までを見直し、専門家からのアドバイスも取り入れ、品質向上を目指した結果、2018年には浅草で行われた「ジャパンティーフェスティバル」で最高賞の5つ星を受賞し、「日本茶AWARD」「国産紅茶グランプリ」でも入賞しています。2021年に開催された「国産紅茶グランプリ」（尾張観光協会主催）では、「やぶきた実生」で製造した紅茶で審査委員長特別賞を受賞しています。2023年にはイギリスの紅茶コンテスト「リーフィーズ」で「いずみ2nd Flush」の入賞もあり、更なる成長を遂げ、国産紅茶の国内トップランナーの一人として頑張っています。
栽培は特に有機ということではありませんが、減農薬栽培を実践しています。
| 所在地 | 茨城県古河市大堤 1181 |
| 栽培面積 | 自園2.3ha |
| 年間生産量 | 緑茶2,000kg／紅茶500kg |
| 茶園標高 | 15〜20m |
| 従業員数 | 家族経営 |
（出典：日本紅茶協会発行 紅茶会報 4月号 2022 No.492）
「吉田茶園について」は、当社社員が上記出典元に寄稿した「茶園を訪ねて」という記事を再編して掲載しております。
注1）出典：地紅茶学会「全国地紅茶マップ2023」
