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産地

世界の紅茶の産地を訪ねて
 – インド ダージリン地区 キャッスルトン茶園 –

2025.4.21

ダージリン、ウバ、アッサム、キーモン(キーマン)・・・。
世界中の様々な土地で作られ、世界中でその土地ならではの飲み方で愛され続けてきた、紅茶。

世界には、無数の種類の紅茶が存在します。
産地の名前がそのまま紅茶の銘柄になっているものがほとんどです。それぞれの産地で個性ある茶葉が生まれるため、どこで生産された茶葉かが重要な印であり、いつしかブランドとなったのでしょう。

nittoh.1909を運営する三井農林は、100年近く前から、紅茶生産に取り組んできました。
本コラムでは、そんな私たちが実際に世界中の紅茶の生産地に赴き、見て、聞いて、感じた紅茶の生産地ごとの空気感を、皆様に少しでもお伝えできればと思います。

今回ご紹介するのは、インド・ダージリンのキャッスルトン茶園です。

ダージリンという
地区について

世界一の紅茶生産量を誇ると同時に、世界一の消費国でもあるインド。

そんなインドにあるダージリンは、インド北東部、ヒマラヤ山麓の標高500〜2,000mに位置する産地です。生産量は少ないものの、香味に優れ、紅茶の中では最も価格が高いことで知られています。また、シーズンにより味わいや香り等の特徴が大きく変化します。

ファーストフラッシュのクオリティーシーズンは3月中旬から4月までで発酵が浅く、緑茶のように青々とした外観と黄味かかった淡い水色が特徴です。さわやかな甘い香りとフレッシュな味わいを楽しむ新茶です。
セカンドフラッシュのクオリティーシーズンは5月から7月上旬までで、1年のうちで最も品質が充実し、芳醇な香りと甘さを感じさせるコク、好ましい渋みを併せ持ちます。水色は淡いオレンジ色をしており、良品にはマスカテルフレーバーと呼ばれる独特の果物香があります。

キャッスルトンという
茶園について

キャッスルトン茶園の工場の写真

キャッスルトン茶園の工場

Castleton Tea Estate(キャッスルトン茶園)はインド北東部、西ベンガル州ダージリン地方の南部に位置します。麓のSiliguriの町から車でMain Roadを行くと、Goomtee茶園を越えて標高1,400〜1,500mのKurseong の町に入り、その隣にあたります。またPankhabari Roadを利用するとMakaibari茶園を過ぎてすぐにCastleton茶園があり、その奥がKurseongの町となっています。Kurseongとは現地Lepcha語で「白い蘭の土地」という意味で、かつてはこの辺り一面に蘭が咲き乱れていたのでしょう。

茶園の創設は1865年、標高は750〜1,650mと高低差は大きいです。茶園名はCastle(城)から来ており、Castleton茶園とKurseongの町の境に“Bank-Ghar”(GharはHouseの意味)と呼ばれる城のような建物があったため、こう名付けられました。現地の人々はこの英語名Castletonとは別にGauri-Shankarとも呼んでいます。Gaurishankerはヒマラヤ山脈にある山の一つで、サンスクリット語で“Gauri”はGoddess(女神)、“Shankar”はConsort(仲間)、つまり「女神の仲間」という意味になります。そういえば1980〜1990年代のオークションで、品質の良いものはCastleton、そうでないものはGourishankarの茶園名で上場されていたことを思い出します。

鑑定の様子の写真

鑑定の様子

Castletonの紅茶は、2番茶の時期にはダージリン紅茶特有のマスカットフレーバーが発現し、その優れた品質は世界的に評価されています。特に1990年代初めに製造されたものは品質が良く、1992年にはカルカッタオークションで当時の世界最高価格であるkg当たりRs.13,001という値で売買されました。茶樹の品種化は他のダージリン茶園同様に遅れており、実生が90%、品種が10%となっています(品種はAV-2、TV-78等)(注1)。また、有機栽培ではありませんが生産性は良くありません。Castleton地区とSpringside地区合わせて318.98haの茶園に固定労働者555名、季節労働者320名を動員して年間70〜100トンの紅茶を生産していますが、生産コストは高く経営を圧迫しています。
茶園は1984/1985年にGoodricke Groupが買収し現在に至っています。このGroupは他にもMargaret's Hope、Thurbo、Badamtam他、計8つのダージリン茶園を持っています(注2)
茶園の認証はETP、FSSC22000、Rainforest Allianceを取得しています(注3)

所在地 Castleton Tea Garden P. O. Kurseong District Darjeeling‐734203, West Bengal,India
茶園面積 471.2ha(注4)
栽培面積 318.98ha
年間生産量 77.4トン(2014年)(注5)
従業員数 正規労働者 555人、臨時労働者 320人(注6)
管理会社 Amgoorie India Limited(Goodricke Group of Companies)

(出典:日本紅茶協会発行 紅茶会報7月号 2015 No.411)

「「キャッスルトン茶園について」は、当社社員が上記出典元に寄稿した「茶園を訪ねて」という記事を再編して掲載しております。

注1)2024年10月時点で、茶樹の種類は、中国種76%、アッサム交雑種20%、品種(クローナル 種)4%です。クローナル種とは、種から苗木を作り育てる実生(みしょう)の茶樹に対して、特に風味に優れているものや病気や寒さに強 いものを選抜し、挿し木で栽培した品種のことをいいます。
注2)2024年10月時点で、 キャッスルトン茶園の管理会社であるGoodricke Groupは、5つの茶園( Castleton、Thurbo、Badamtam、Barnesbeg、Margaret's Hope)を持っています。
注3)2024年10月時点で、キャッスルトン茶園が取得している認証は、Rain Forest、FSSC22000です。
注4)2024年10月時点で、茶園面積は444.77haです。
注5)2023年の年間生産量は130.86MTです。
注6)2024年10月時点で、臨時労働者は180人です(正規労働者の人数に変更はありません)。