ウバという地域について
紅茶栽培に適した気候風土を持ち、バランスのとれた高品質の紅茶が生産され、セイロンティーとして日本でも親しまれているスリランカ。
そんなスリランカの中にある、世界三大紅茶の産地の一つでもあるウバは、中央山岳地帯の東側に位置する高地及び中地に存在します。水色は明るく赤味のある橙色で、ウバフレーバーと呼ばれる特有の爽快な香り、刺激的な渋みを持つ力強い味わいが特徴です。
エイスラビー茶園について

茶園の様子
Aislaby Tea Estate(エイスラビー茶園)はコロンボから東へ約200kmの位置にあります。宝石の町として有名なラトナプラを経由してハプタレを越え、ウバの中心Bandarawela(バンダラベラ)の町まで車で約5時間、ここから茶園までは約8kmの距離です。ウバの有名茶園を通るEttampitiya Roadの道沿いにあり、Bandarawelaから約15分と比較的近く利便性が高いです。ヌワラエリアからは車で2時間半かかるため、Kandy、 Dimbulaを経由すると時間は余分にかかります。

工場の裏には日本山妙法寺のバンダラベラ道場があり、日本人のお坊さんが住んでいます。この辺りはMalwatte Valleyという盆地にあたり、ウバの中では最も品質が良くUva Highland、St. James、Dickwella等の有名茶園が集まっています。7月中旬から8月上旬にインド洋からのモンスーンがコロンボ、ディンブラ側に降雨をもたらし、中央山岳地帯を越えた乾いた風がMalwatte Valleyを抜けていきます。この風は茶樹に適度なストレスを与え、茶樹は自己防御のため茶葉にサリチル酸メチルを配糖体として蓄えます。そして十分萎凋させた後に揉捻することで細胞が破壊され、茶葉中の酵素により加水分解が進むと、スーッとした香りが作り出されていきます。さらに分解発酵によりバラ様の香り、りんご様の香りが発現し、同時に各種カテキンの酸化発酵が進んで爽快な渋みと赤橙の水色を持つ紅茶が出来上がります。
MalwatteとはFlower Garden(花園)という意味で、11世紀にWalagambaという王様がここに宮殿を建てましたが、王もこの綺麗な花が咲き誇る土地が気にいったのでしょう。
茶園は1920年に英国人Mr. Bostockが所有しています。彼の父親はイングランドのAislabyという小さな田舎町に教会を建てており、父親を偲びこれを茶園名としました。Bostock自身は茶栽培製造の技術者ではありませんでしたが、茶産業には理解があり、茶園を育てていきました。彼は茶園が見渡せる場所に肘掛椅子を作り、毎日双眼鏡を手に眺めていたそうです。これは“Bostock Chair”と呼ばれ、今でも残っています。その後Harrisons & Crossfield社が管理、1973年の国有化でSri Lanka State Plantation Corporationに移り、1992年の民営化によりMalwatte Valley Plantation Ltd.が管理経営を引き継ぎ、現在に至っています。
茶園の標高は1,191〜1,374m、工場は1,218mの位置にありHigh Grownとなります。茶樹の品種化は遅れており18%に過ぎません(注3)。認証についてはISO22000、ETPを取得しています(注1)。
所在地 | Bandarawela Uva Province Sri Lanka(バンダラベラ ウバ州 スリランカ) |
茶園面積 | 544.8ha(注2) |
栽培面積 | 473.68ha(品種 18%、実生 82%)(注3) |
年間生産量 | 650トン(注4) |
従業員数 | 693 人(注5) |
管理会社 | Malwatte Valley Plantations PLC |
(出典:紅茶会報 8月号 2015 No.412)
「エイスラビー茶園について」は、当社社員が上記出典元に寄稿した「茶園を訪ねて」という記事を再編して掲載しております。
注1)2024年11月時点で、エイスラビー茶園が取得している認証は、RainforestAlliance、ISO22000、HACCPです。
注2)2024年11月時点で、茶園面積は651.1haです。
注3)2024年11月時点で、栽培面積は463.32haで、茶樹の種類は、品種(クローナル種)19%、実生81%です。品種(クローナル種)とは、種から苗木を作り育てる実生(みしょう)の茶樹に対して、特に風味に優れているものや病気や寒さに強いものを選抜し、挿し木で栽培した品種のことをいいます。
注4)2023年の年間生産量は450トンです。
注5)2024年11月時点で、従業員数は288人です。