まずはECサイト「nittoh.1909」を立ち上げた背景を教えてください。
佐伯:弊社は1909年に設立された旧三井農林の前身会社を起源とし、その後長年に亘り、日本人好みのお茶を提供してきました。しかし、過去数十年、お客様との直接的なコミュニケーションが「日東紅茶」で知られる家庭用製品を中心に限定されてきたこともあり、このたび新たにプレミアムECサイト「nittoh.1909」を開設することとなりました。
ECサイトとしては、既存製品販売サイト「Tea Mart」や、業務用製品販売サイトである「Tea Break」を開設済ではありますが、「nittoh.1909」では、製品情報提供にとどまらず、お茶にまつわる文化の発信や、お茶の世界を体験いただく機会を一層増やしたいと考えています。
そこで、サイト名は「日東紅茶」の一部を英語化し、弊社の祖業に当たる会社の創設年を冠したものとしました。これは、歴史と伝統に裏打ちされた技術を梃子に、日本ならではのお茶文化を世界に向けて発信していきたいとの思いを込めたものです。
なるほど。長年に亘る歴史や伝統も重視しつつ、お客様との直接の接点を増やそうとする施策ですね。
佐伯:ご理解の通りです。歴史と言う意味ではあまり知られていないのですが、弊社は旧三井合名会社山林課をルーツとする、日本最古の総合お茶メーカーです。1919年に製茶事業に参入した8年後には、自社製造した紅茶が英国市場で高い評価を得たことをきっかけに、初の国産ブランド紅茶「三井紅茶」を発売するに至り、1933年には名称を現在の「日東紅茶」に変更し、旧三井物産と協力しつつ、欧米に向け「日東紅茶」を積極的に輸出し始めました。
時代の流れもあり、一旦は旧三井農林も解散となったものの、1949年には茶製造・販売事業を再開、日東紅茶製品の製造・販売や、鹿児島での茶園経営や製造事業、東京日比谷での庭園式ティーハウス「日東コーナーハウス」事業等にも参入しました。その後も日本初のティーバッグマシン導入や、世界初となる紅茶製品によるモンド・セレクション金賞受賞、そして2007年には「急須のいらない緑茶です」が初めて日本人宇宙飛行士と共に宇宙に届けられる等、数多くの実績を積み上げてきています。
(注:旧三井農林は1949年に解散しており、現三井農林との法的継続性はありません。旧三井物産と現在の三井物産にも法的継続性はなく、全く別個の企業体です)
まさに日本のお茶の歴史に数々の足跡を残されてきたのですね。ところで既存製品販売サイトである「Tea Mart」との違いを教えてください。
佐伯:まず、最も大きな違いは商品ラインナップです。「nittoh.1909」は、茶園や季節毎の個性を味わう「Tea Estate」、作り手の個性を味わう「TEA CREATOR」、独自の抽出製法で香りを味わう「Cold Brew Tea」等、標準サイトでは原則販売されない高付加価値型・差別化商品を取り揃えています。
次に、サイトを通じた双方向型コミュニケーションであることも大きな違いとして挙げられます。既存サイトでは製品販売を主な目的としていますが、「nittoh.1909」では、会員登録していただいたお客様に、買い物の場を提供するに留まらず、商品開発にご参加いただけたり、体験を通じた共感の場を用意したりすることを目指します。
例えば商品開発を進める際には、開発中のサンプルをお客様に試飲していただき、その声を迅速に反映させることで、最終的にはお客様との共同開発体制を確立すること等を狙いとしています。
より消費者の声を反映させたサイトになっているのですね。「体験を通じた共感の場」とは、どのようなイメージになりますか?
佐伯:茶摘み体験や試飲会、淹れ方講習会等の場を提供し、五感を最大限活用した共感体験の場を数多く設けていきます。お客様と弊社の結びつきを強化することで、たゆまぬ価値創造を目指したいと思います。
コロナ禍であることを踏まえ、バーチャルな場における双方向型コミュニケーションを強化していくということでしょうか?
佐伯:その通りです。これまでもWeb上で開催される紅茶講習会等の双方向型コミュニケーションの場を作ってきましたが、注目度はそれ程高くありませんでした。しかし、コロナの影響もあり、今後、双方向型バーチャルコミュニケーションの需要はますます高まることでしょう。
まさに世相を反映させたサイトになりそうですね!ちなみに、このサイトを見た方に対する特典などは何かありますか?
佐伯:勿論です!「nittoh.1909」に会員登録していただいた方には、同サイト上で800円相当の商品購入に充当可能となるポイントを、もれなくプレゼントいたします。
素晴らしいですね!では最後に、今後さらにサイトを充実させるための秘策があれば教えてください。
佐伯:来春を予定しているグランドオープン時には、商品ラインナップや体験型プログラムの更なる強化に加え、メールマガジンを通じた読み物やお知らせの発信、プレゼント企画等も一層充実させていきたいと考えています。