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和紅茶の魅力 – 知りたい!和紅茶のいま –

2023.10.18
茶葉の写真

「和紅茶」という言葉を耳にしたことはありますか?紅茶好きの方はご存じかもしれませんが「初めて聞いた」という方もいるのではないでしょうか。そこで、和紅茶とは何か、どんな特徴があるのか、いつ頃からつくられているのか、といった基礎知識をみなさまにお伝えしたいと思います。

日本で収穫・加工した紅茶。それが「和紅茶」

「和紅茶」とは、日本の気候風土に育まれた茶樹から摘み取った茶葉を使い、日本で紅茶に加工したお茶のことです。現在は45都府県の約897カ所で和紅茶がつくられていて、茶農家がそれぞれに工夫を重ね、個性的な香りと味わいを生み出しています。

※出典:地紅茶学会
紅茶と大福の写真

一般的には「まろやかで渋みが少ない」「ほのかな甘さがある」などと説明されることが多いですが、生産地や生産者によって味わいは大きく変わるため、一概に和紅茶すべてがそうとは言えません。海外紅茶以上の渋みを持つものもありますし、花やフルーツのような香りがあるもの、グリーンな香りのものなど、和紅茶は本当に生産者の個性によりさまざまです。

世界の紅茶生産量が推定約300万トンに対し、和紅茶は推定200〜250トン、さらに国産緑茶と比べると1日の生産量は半分以下ですから、生産量はごくわずかですし、緑茶よりも、海外紅茶よりも高コストなのが現状です。しかし、日本の土壌で育ち、日本人が美味しいと思うものを目指してつくられた紅茶は、きっと心に響くものがあるはずです。

100年以上前から国内で紅茶生産に取り組んできた三井農林

日本の製茶産業が急速に発展したのは明治時代のこと。その多くが輸出され、茶葉は製糸に並ぶ日本の輸出主力品目となりました。そこで日本政府は、茶類の中でも世界的に需要の高い紅茶に注目。政府が『紅茶製法書』を作成し、各府県に配布したのは150年近くも前のことです。

和紅茶の歴史年表 和紅茶の歴史年表

しかし、品質や価格面の問題などで、明治後期になっても紅茶事業は伸び悩んでいました。そこで、現在の三井農林にあたる三井合名会社が、1899年に大規模な製茶事業に進出。長年の試行錯誤の末、1926年から生産をすべて紅茶に切り替えると、翌1927年には初の国産ブランド「三井紅茶」(のちの日東紅茶)が誕生。こうした動きが事業のベースとなり、その後は国産の紅茶ブランドが次々と誕生しました。日東紅茶が大規模な普及宣伝活動を実施したことも追い風になり、1937年には紅茶の海外輸出もピークに。しかし、輸出制限が解除されると減少に転じ、世界大戦を経て紅茶はゼロからの再出発を余儀なくされました。

日本初の国産ブランド紅茶「三井紅茶」の写真
1927年 日本初の国産ブランド紅茶
「三井紅茶」を発売
小田急ロマンスカー内での喫茶室の写真
1950年 小田急ロマンスカー内で喫茶室経営を開始、
「走る喫茶室」として評判に。

戦後の国内茶市場の回復には時間がかかりましたが、復興と高度経済成長の波に乗り、その後は好況が続きました。紅茶生産も1946年の時点で87トンにまで落ち込んだものの、鹿児島県枕崎に集まった三井農林の社員たちが紅茶品種の茶園をはじめ、国が推進する「国産品種紅茶の産業化」にも協力し、国産品種紅茶の育成・改良、紅茶生産県への指導・普及に努め、需要拡大に貢献しました。

1910年から2018年までの国内紅茶生産量グラフ
※日本紅茶協会より

高度経済成長期に入って国内の緑茶需要が増えてくると、紅茶生産のための生葉の確保が難しくなり、国際競争力を失ってしまいます。さらに1971年には紅茶輸入自由化が始まり、国内の生産は激減。1874年から続いた行政指導による様々な政策はピリオドを打つことになりました。

しかし、近年は再び脚光を浴びつつある国産の紅茶。とくに2006年以降の伸びが顕著なのは、緑茶消費の減少による行政支援などがあり、紅茶の生産が全国各地に広がっているからです。

1990年から2018年までの国内紅茶生産量グラフ
※日本紅茶協会より

和紅茶の生産時期はいつ頃でどんな品種があるの?

国内での茶葉の生産時期は、一番茶が4月末〜5月中旬、二番茶が6月中旬〜7月、三番茶が8月と、緑茶とほぼ同時期になります。和紅茶が多くつくられているのは主に二番茶。二番茶の時期は気温が高く、紅茶の発酵もしっかりと進むため、紅茶の味・香り・水色の3拍子がそろったフルボディの紅茶が出来やすくなるからです。生産者は必要量のみつくるスタンスのため、和紅茶の茶葉調達はほとんどが注文生産で、生産者と協力して品質確保に努めています。

お茶の品種は紅茶だけでなく、緑茶も含むお茶全体の品種となるため、紅茶専用の品種があるわけではありません。製法の違いによって緑茶や紅茶ができるため、一つの品種から緑茶も紅茶もつくることができる、というわけです。

国産で有名な品種の筆頭に挙げられる「やぶきた」は緑茶向きの品種ですが、日本ではこのやぶきた種から多くの和紅茶がつくられています。一方で、紅茶向けに開発された品種が、ボディ感のある紅茶をつくることができる「べにふうき」。国内ではこのほかにも、「べにひかり」、「藤かおり」、「さやまかおり」、「べにほまれ」などの品種も生産されています。

茶葉の写真

「やぶきた」の特徴

煎茶向きの品種として、1953年に静岡県で誕生しました。紅茶葉は青みを帯びた黒褐色で、抽出後のお茶の色は青みを帯びた淡いオレンジ色。インド・スリランカ産と比べると渋みが少なく、軽い口当たりとすっきりとした後味が楽しめます。熟した中にも青さを感じさせる爽やかな香りも魅力のひとつ。桜の葉のような香りの中に、ほのかに花の蜜のような甘い香りもひそんでいます。

「べにふうき」の特徴

紅茶用に開発された品種で、1993年に鹿児島県・枕崎で誕生。紅茶葉は赤みのある赤褐色でゴールデンチップを含んでいます。抽出後のお茶の色は黄色みを帯びた明るめの赤褐色。ほどよい渋みがあり、力強い味わいが感じられます。マスカットのような奥深い香りや、青さを残した桃のような甘い香りもあり、飲んだ後に余韻を楽しめるのも魅力です。

<ご注意>
外観・水色・香味の特徴は代表サンプルの官能評価に基づく一例であり、各品種紅茶が全てこれに当てはまるわけではございません。

和紅茶の魅力は個性が際立つ多種多様な味わいを楽しめること

和紅茶の一番の魅力はさまざまな個性があるところです。品種や生産地域による違いもありますが、茶師がつくりたい味を目指し、創意工夫がなされることにより多彩なバリエーションが生まれます。つまり、和紅茶は茶師の価値観や美意識、情熱など、個性がそのまま表れるため、お茶を通してつくり手の想いに触れることができるのです。そういう意味では地ビールやクラフトコーラなどに似ているのかもしれません。
加えて、終焉しかけても近年復活しはじめたドラマチックなストーリーを知れば、より味わい深く感じるのではないでしょうか。

また、和紅茶は食事やスイーツの味や香りを引き立てるペアリングの幅が広く色々なメニューと一緒に楽しむことができるので、まだ飲んだことがない方はぜひ一度味わってみてください!次回は、和紅茶のペアリングについてお伝えいたします。

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