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トップ>コラム一覧> つくり手:日本人の感性に響く、和の「アールグレイ」【中編】

つくり手

日本人の感性に響く、和の「アールグレイ」

「Tea Creator」シリーズとは、お茶づくりのプロフェッショナルがこれまで培ってきた経験と、研ぎ澄まされた五感から創りだされる、個性豊かなオリジナルブレンドティーだ。「Tea Creator」に込められたつくり手たちの思いを、その一杯とともにお届けしたい。

「にっぽんのアールグレイ–橘晴-」つくり手:森 智洋

三井農林株式会社 R&Dグループ 茶葉開発ユニット所属
2013年入社、藤枝工場の鑑定室配属、烏龍茶やジャスミン茶などの中国茶関連業務に携わる。2016年、紅茶の開発担当に着任。2017年からは買い付けも担当。2019年より再び開発業務に専念、現在に至る。
得意分野はブレンドと焙煎。リーフティーから、ペットボトルなど容器入り茶の原料茶葉まで、幅広い形態の開発業務を行う。

主な作品・受賞歴
2017年「マジェスティ」日本茶AWARD審査員奨励賞(部門2位)
2018年「マジェスティ2」日本茶AWARDファインプロダクト賞(部門1位)
2019年「にっぽんのアールグレイ〜橘晴〜」日本茶AWARD 審査員奨励賞(部門2位)

※日本茶AWARDとは?
日本茶の新たな価値を見出し、多くの方に多種多様なお茶の美味しさや香りを伝え、更には新しい生活スタイルを提案し日本茶の多様性と幅広い魅力を国内外へ発信する為に開催している品評会です。

写真

【中編】では、ネーミング「橘晴(きっせい)」に込めた想いと“香りの言語化”へのこだわり、その情熱のルーツについて語ってくれた。

「橘晴(きっせい)」。日本古来の柑橘「たちばな」に想いを馳せて

:「にっぽんのアールグレイ -橘晴-」という作品を生み出すにあたり、頭の中に鮮明に浮かんだのは、和のベルガモットとして選んだ「柚子」特有の晴れやかで透明感のある柑橘の香りのイメージでした。このイメージをどのように言葉で表現しようかと考えていた時、「橘(たちばな)」という漢字を使いたいと思いました。
:「橘(別名:ヤマトタチバナ、ニッポンタチバナ)」は日本古来の固有種であり、諸説ありますが、柚子や蜜柑などの日本に自生する柑橘類の多くは、この橘を祖先品種とするという説があるということです。神話を伝える日本最古の歴史書とされる『古事記』『日本書記』にも既に記述があり、『万葉集』『古今集』などでも多くの歌に詠まれてきた「橘」。芳香を放つ純白の花や常緑の美しい葉は、文様や家紋にも用いられるほど、日本人の暮らし・文化に深く根差してきた柑橘でした。
太古の昔から日本人に永く愛されつづけてきた「橘」を祖先とする「柚子」「蜜柑の皮(陳皮)」でブレンドした和紅茶。それこそ、わたしが考える、日本人に向けた日本人のための「アールグレイ」であると確信し、日本固有の「橘」のイメージに「晴れやかな」を重ね「橘晴(きっせい)」としました。

香りの言語化。紅茶に秘めた世界観やストーリーも堪能いただきたい

:“香りの言語化”へのこだわりは以前から強く、これは、つくり手としてのわたし自身を語るうえで欠かせないアイデンティティといっても過言ではありません。
「TEA CREATOR」ブランドの作品としては、今回の「にっぽんのアールグレイ-橘晴-」が第一作目となりますが、それより前の2017年に日本茶AWARD出品用につくった「マジェスティ」という作品づくりでの経験が、この“香りの言語化”へ向けた情熱のルーツとなりました。
:「マジェスティ」の特徴は焙煎香でした。淹れるときに漂ってくる香りだけで、そのお茶であるとわかってしまうほど存在感のある焙煎香です。焙煎温度や火入れの条件を細かく変えてパーツをつくってブレンドし、香料不使用にも関わらずカラメルのように強く甘い香りを楽しめるようにしました。
「マジェスティ」は、その奥深い香りの持つ強い存在感に加え、紅茶の持つ女性的な響きから女王陛下(Her Majesty)をイメージしたネーミングです。飲んでいただくお客様に、わたしが抱く世界観をいっしょに感じ、豊かな時間を共有いただけたらという想いから名付けました。
この時の経験が自分のつくり手としての確固たる軸となり、今回の「にっぽんのアールグレイ -橘晴-」へ受け継がれています。「きっせい」という音の響きも含めて、清らかですっきりとした味わいを表現すべく、緻密に設計した「にっぽんのアールグレイ -橘晴-」。日本人が太古から愛しつづけてきた「橘(たちばな)」に想いを馳せる浪漫。その世界観やストーリーを含めてお客様にご賞味いただけたら、こんなに嬉しいことはないですね。