ディンブラという地域について
紅茶栽培に適した気候風土を持ち、バランスのとれた高品質の紅茶が生産され、セイロンティーとして日本でも親しまれているスリランカ。
そんなスリランカの中にあるディンブラは、中央山岳地帯の西側に広がる高地にあります。水色は明るく鮮やかな紅色で、マイルドで優雅な香りと適度な渋みを伴うバランスのとれた味わいが特徴です。
(出典:三井農林 TEA BREAK 商品カタログ)
サマセット茶園について

Somerset Tea Estate(サマセット茶園)はディンブラの中でもヌワラエリヤに近いNanu Oya(ナーヌ・オヤ)に位置します。ヌワラエリヤの町からはコロンボ方面に続く国道7号線を西に下り、途中近道を通れば20分でたどり着けます。コロンボからは156km、車で国道7号線を東に進むと5〜6時間で到着します。
Somersetはイングランド南西部にある州の名で、イングランド有数の観光地バースもここにあります。茶園はもともと英国のCeylon Plantation Companyが所有しており、故郷を想ってSomersetと名付けたのでしょう。

クオリティシーズンは1〜3月。茶園の標高は1,402〜1,576mと比較的高いため、水色はやや薄く花様の香りがあり、毎年高値で取引されます。管理会社のTalawakele Plantation PLCは、他にもディンブラにGreat Western、Dessford、Holyrood、Mattakelle等の優良茶園を数多く所有しています。Mattakelleは水色の濃いコクのある紅茶となりますが、Somerset、Great Western、Dessford、Holyroodの紅茶は黄橙色の明るい水色が特徴です。さらにバラ、リンゴ、桜、アプリコットのような花・果物様の香りを持ち、時に蘭のような甘い香りが発現することもあります。製法はディンブラでは一般的なオーソドックス、ローターバン揉捻機を使用したセミオーソドックス製法です。形状はBOPですがウバ、キャンディのそれと比較すると細かく、外観もクオリティシーズンには黄褐色となります。
茶園は他のプランテーション会社と同様、民営化となっても国が所有しますが、経営は筆頭株主であるHayleys Groupが行っています。Hayleysはスリランカの優良複合企業の一つで、エステート経営の他にも繊維・物流・建設資材・観光等様々な事業を展開しています。茶に関してはTalawakele Plantationsの他に、Lovers Leap(Pedro)、Annfield、Ingestreといった茶園を所有するKelani Valley Plantationsも経営しています。またHayleys Global Beverages という会社を設立し、2016年6月、彼らが管理するディンブラ・Hatton(ハットン)地区のBlinkbonnie Tea EstateにTea Extractsの工場を建て生産を開始しました。Hayleysは新しい事業、品質向上に積極的に取り組む体質の会社です。
認証はISO22000、Rainforest Alliance(RA)、Ethical Tea Partnership(ETP)を取得しています。(注1、注2、注3)
(出典:紅茶会報 3月号 2018 No.443)
注1)「サマセット茶園について」は、当社社員が上記出典元に寄稿した「茶園を訪ねて」という記事を再編して掲載しております。
注2)Rainforest Alliance(RA)とは、森林破壊、気候変動、農村地域の人々のための経済機会の創出と労働環境の改善など、環境問題と社会問題を解決するために活動している国際的な非営利団体です。
注3)Ethical Tea Partnership(ETP)とは、お茶を扱う会社や生産者等がメンバーとなり、茶産業の環境的・倫理的または生産地域の労働者の問題を解決するための活動を行っている会員組織のことです。