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トップ> コラム一覧> つくり手:自然を尊び、季節を味わう「春茶」「夏茶」【中編】

つくり手

自然を尊び、季節を味わう「春茶」「夏茶」

tea creator」シリーズとは、お茶づくりのプロフェッショナルがこれまで培ってきた経験と、研ぎ澄まされた五感から創りだされる、個性豊かなオリジナルブレンドティーだ。「tea creator」に込められたつくり手たちの思いを、その一杯とともにお届けしたい。

「#3」つくり手:秋林健一

三井農林株式会社 R&Dグループ 茶葉開発ユニット所属
2005年入社、宮原工場(現藤枝工場)品質管理課に配属。その後、広島工場(当時)品質管理課へ異動し、7年間、主にティーバッグ製造やIGT(インスタントティー)の品質管理に携わる。2012年に鑑定室へ異動。現在に至る。
得意分野は原料購買での経験を活かした荒茶作り。お客様が無意識に求める「あの商品のあの味」に寸分違わぬ味を組み立てる。

・主な作品
2018年「#3(スクエアスリー)RePro」
日本茶AWARDプラチナ賞(「紅茶・後発酵茶以外の発酵系の茶」部門の1位)
2019年「#3(スクエアスリー)BREAK」

つくり手:秋林健一

【中編】では、つくり手である秋林が、自身の技術を磨くうえで基盤としているお茶の香味特徴と、「春茶」「夏茶」それぞれの製法において重視したポイントについて語ってくれた。

繊細な日本人の味覚に合う、特徴的な香りと「渋味」の弱さ

秋林:わたしが作るお茶の香味特徴は、「特徴的な香りを持ちつつ、渋味が弱く感じる」を基本としています。これは、中国茶における品質の考え方を模範としており、自身の技術を確立するうえでの基盤となっています。
紅茶を飲んだ時に感じられる「渋味」は、テアフラビンやテアルビジンと呼ばれるポリフェノールの一種とされており、味わいだけでなく、水色にも影響を及ぼします。

秋林:一般的に世界に流通している紅茶では、「渋味」は味わいの特徴のひとつとして必要とされる要素である一方、中国茶に関しては、必要としない要素となったりします。また、日本茶の場合は、「渋味」に加え「苦味」「旨味」「甘味」を4大要素として重視するなど、価値観というのは本当に千差万別です。

わたしの経験上ではありますが、はっきりとした香りだけでなく、お茶を飲んだ時に感じる強い「渋味」を敬遠されがちなお客様が多いように感じます。そのため、香りと「渋味」のバランスが作品づくりで重要なポイントと考えました。まさにティーテイスターとしての腕の見せどころでもあります。

「春茶」「夏茶」それぞれの個性を活かした仕上げへのこだわり

秋林:「夏茶」に関しては、ジャムのような甘くコクのある果実香が特徴となるようにパーツ選定、ブレンドに加え、焙煎条件も大事にしました。
紅茶を焙煎することで蜜のような甘い香りが生み出されるため、候補となる全てのパーツに対して複数の焙煎条件を試し、自分のイメージに合ったパーツを選抜し、ブレンド比率を決定しました。

「春茶」に関しては、春摘みの荒茶が持つフレッシュな香りそのものを活かすため、あえて仕上げ工程では焙煎を行わず、ブレンドを主に重要視しました。素材の持ち味を活かしながら、日本人に合う風味に仕上げるべく製法にもこだわった「春茶」「夏茶」それぞれの個性を是非楽しんでいただきたいです。

秋林:今回の2020年生産版では、例年使用していた茶工場が使用できなくなっただけでなく、お茶づくりを始めて5年目にして、春の暑さ、夏の雨の多さという天候不順も大きく影響を受けました。正直なところ、あまり恵まれた環境とはいえませんでしたが、茶園農家さんの努力のおかげもあって、非常に良い状態の生葉を使うことができました。
2019年生産「BREAK」の後継品となる「夏茶」の再現性にも満足しています。昨年の仕上がりに匹敵するようなクオリティにできたのではないでしょうか。