秋林:完成したお茶をどうぞ召し上がってみてください。
山田:あー香りが。最初にぱっとベルガモットがきて、僕が知っている、畑で嗅いでいる匂いがします。ベルガモットは果皮はもちろん、木を切ったりしたときにも強い香りがするんです。
畑のほとんどの物が、収穫した瞬間が一番おいしい。加工品にすると、味や香りが損なわれたり、余計なものが足されて変わってしまうことが多い。僕は植物を育てて食べてもらうのが仕事だから、採れたての味や香りが活かされていると、たまらなくうれしい。
特にベルガモットのお茶は、僕も色々やってみたけれどうまくいかず、できないと思っていたものなので、本当に驚いています。
秋林:トップノートはベルガモットの香りがして、余韻の方で果皮ならではの風味がいいアクセントになっているかと思います。
山田:ベルガモット特有の苦味やまろみがありますね。
秋林:素材のよさに助けられていますが、生のベルガモット本来の味を伝えられてるんじゃないかなと。
山田:すごいな。どういう経緯でこの紅茶を開発されたんですか。
秋林:もともと乾燥の技術に興味がありました。お茶は、生葉を色んな工程を経て最終的に乾燥させますが、この乾燥工程にて香りの変化が発生します。より品質の良いものを求めて、お茶の乾燥方法を開発する延長上で、生の果皮にこの乾燥方法を展開したらいいものができるんじゃないかと検討していたのが、きっかけになりました。
山田:オリーブオイルの直売所を兼ねた小さなお店もやっているのですが、このお茶はぜひカフェで出したいですね。飲み物としてすごくおもしろいと思います。
秋林:ありがとうございます。オリーブの葉でつくったオリーブ茶もあるんですね。そういえばチャノキも植えてらっしゃるとか。
山田:やぶきたね。まだ趣味程度です。お茶は加工技術が大きいですね。栽培後の加工をていねいにやらないと商品にはできないなとすぐにわかりました。
秋林:山田さんの探究心なら、いずれすごいお茶ができそうですね。
「Botanytea」は、植物のみずみずしさや香りを茶葉に移して楽しんでもらうことをテーマにしています。ベルガモットに続いて今後はさらに果物や花や野菜などのフレッシュさを、お茶を通してお伝えしていきたいです。
山田:でしたらぜひうちの有機ローズを。まだ苦闘中ですが、いいのがあるんですよ。
秋林:いいですね有機バラ。バラは虫は大丈夫なんですか?
山田:大丈夫じゃないです(笑)オリーブの何倍も虫がきます。やっぱりいい匂いがするし、おいしいんでしょうね。農薬を使わずにどう作るか。
秋林:実現が楽しみです。ぜひやりましょう。